Aikn5.png・北の大地(泊 原子力発電所)

・広い北の大地「北海道」には、一基の原子力発電所があります。
・それが、積丹半島の付け根にある「泊原発」です。

●泊原発(とまりげんぱつ)
・1989年、5年の歳月をへて1号機が完成して発電を始めました。
・2009年に3号機も完成します。稼働総出力は207万kWで北海道の電力需要の約40%をまかなう電源となる予定でしたが、現在は停止中です。

・泊原発は、何かとトラブルと問題を持つ原子力発電所で、道民の反対運動も激しいです。
・2022年の夏、わたしはその停止中の「泊原発」を見に行きました。

◎ 泊(とまり)原子力発電所



・泊原発は、現在停止中ですが大勢の作業員が仕事をしており、堤防建設で大型ダンプカーも忙しく出入りしていた。
・当然、原発敷地内に立ち入ることはできませんが、対岸の岩内港の埠頭から全体を見渡すことができます。

・泊原発をみて、なぜこんな海辺の近くに造ったのか不思議に思う。
・もう少し、海岸から離れた高台になぜ造らなかったのかと思った。

・それは11年前の東日本大震災による福島第一原子力発電所の津波事故を思い出したからです。

・この泊原発は、大型の津波が起これば間違いなく水没する原発です。
・北海道電力は、建設施工当時は東日本大震災規模の津波を想定していなかったようです。

・日本の原発は、2次冷却として海水を利用しているので海辺に造っています。
・日本列島は火山列島で地震も多い国、当然地震対策もとっていますが、想定外の地震や津波、地割れには対応ができていないことが東日本大震災で証明されています。



・北海道電力は、東日本大震災後の2011年4月以降、定期検査のため順次3基の原子炉を一時停止して点検作業に入りました。
・その後、国の新規制基準施行と同時に再稼働を申請しましたが、原子力規制委員会では、いまも審査が続いています。

■泊原発の問題点

1.津波に無防備

・再稼働を目指す泊原発について、道内外の約1200人が北電を相手に、運転差し止めや廃炉などを求めて訴訟を起こします。
・その判決が2022年5月31日札幌地裁でありました。
・地裁の谷口哲也裁判長は「基準で求められている津波防護施設(防潮堤)が存在しないと述べ、運転差し止めを命じた。

・この判決は、素人の私でさえ津波に対して無防備だと思うので妥当な判決だと思われます。
・北海道電力側は、これを不服として上告しています。

・さらに、市民団体が反対する理由として、泊原発の地質的な問題があります。

2.原発周辺に活断層がある。

・泊原発がある積丹半島は1000万年前の「地震性隆起」で造られた半島で、泊原発の沖合の海底には活断層があり、今後地震の起きる可能性があると地質学者から指摘されます。

3.洞爺・ニセコの火山群が近くにある。

・もし洞爺・ニセコの火山群が大規模な噴火をした場合、火砕流が泊原発に届く危険性が高く、11万年前の洞爺カルデラ噴火の火砕流が泊原発の10㎞手前に20m堆積しています。

・これらのことから、泊原発は「再稼働してはいけない」原発と猛反対をしています。

・原子力規制委員会の泊原発の再稼働の審査意見は2023年9月以降のようです。
・泊原発の3基の運転停止期間が10年を超えることは確実です。

・また原子力規制委員会の審査が10年近く遅れている一因が、北電内部の意思疎通の「不手際」であり、北電の人材不足が懸念されます。その場対応のずさんさが目につきます。

・このような北海道電力に原子力発電を任せるのに不安を感じています。



・無資源国の日本には原発は54基あり、日本で使う電力の約30%前後を原子力で賄っていました。
・しかし東日本大震災の発生で、その後すべての原子力発電所は停止します。

・国民からは、原発に対する根強い不信感が生まれました。

・日本の家庭や工場は、動力エネルギーを電力に依存し電気エネルギーがなければ生活や経済を維持できない。

・東日本大震災後、老朽化した火力発電所を再稼働してなんとか必要な電力を確保してきたが、その火力発電施設も老朽化のためもはや限界に近い状態です。

・地球温暖化問題もあり石炭も使えない、石油も天然ガス(LPG)も海外に依存している。・風力発電や太陽光発電もまだまだ技術的に問題が多い。
・クリーンエネルギーに代換えするには、膨大な再投資をしなければならない。

・さらに石油も天然ガス(LPG)の高騰が続き円安もあり、大幅な電気料金の値上げが、家庭、企業を圧迫しているのが今の日本です。



・震災から11年、現在稼働している原発は6発電所の10基のみで、西日本エリアに集中しています。いずれも事故を起こした福島第1原発とはタイプが異なる「加圧水型」です。

・東日本大震災後、原発は国民から不信感をもたれ停止したが、今の日本の生活や生産を維持するためには、当面は原発の再稼働しかないだろうと私は思っています。

・無資源国「日本」の豊かさと引き換えの大きなリスクです。

・発電量の約80%を火力発電に依存している現在、地球の温暖化対策上欧米からも批判を受けています。
・さらに高騰する原油やLPG、石炭はすべて海外に依存しているためエネルギーコストがあまりにも高すぎる。

・風力発電や太陽光発電が代換エネルギーとして叫ばれているが実際には問題点も多く技術がまだ確立されていない。

・昔の家畜(馬・牛)に動力を頼る生活には戻れないし誰も耐えられないと思う。

・したがって当面リスクを背負いながら原発を再稼働させ、その間に「クリーンエネルギー」化を推し進めるしか日本には道がないのかもしれない。



・日本で原発が稼働してから半世紀、原発の運転により発生する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場について原子力発電環境整備機構(NUMO)は頭を悩ましてきた。

・核のゴミの最終処分場が日本では見つからないからだ。
・かっての候補地も住民の猛反発で裁ち切れた。

・ところが2020年8月、北海道の小さな町「寿都(すっつ)町」住民2800人の町長が名乗りを上げます。
・さらに、泊原発と隣接する人口800人弱の神恵内(かもえない)村も名乗りを上げた。

・寿都町や神恵内村は、過疎化が進み若者は少なく高齢者が多い漁村の町です。
・危険な「核のゴミ」を引き受けるといった背景は何なのか。

・それは、多額の補助金が目当です。


・原子力発電環境整備機構(NUMO)は、3段階の調査で処分場を決めます。
・文献調査で1年当たり10億円で、計20億円が交付。
・概要調査で1年当たり20億円で、計80億円が交付。
・精密調査の交付金は未定だが多額の交付金が予想されます。

・原子力発電環境整備機構の原資は各電力会社からの交付金でまかなわれています。
・したがって、これらの補助金は電気料金に転化され国民が支払うことになります。

・NUMOが最終処分場候補地と決める場合には、住民や道民の意見を重視して決めなければならない。
・高レベル放射性廃棄物(核のごみ)が無害になるには10万年の期間が必要です。

・候補地のこの地域には泊原発の再稼働の問題点となっている活断層や洞爺・ニセコの活火山あり考慮しなければならない。

・おそらくNUMOは、40億円を支払って不適切候補地として両町村を却下するだろうとおもう。

・それを見越して手を上げたのかもしれないが、2800人の北海道の小さな町「寿都町」では、反対派と賛成派で町の住民は分断され住民同士の交流の場を失っています。

・核の最終処分場候補地が見当たらない島国日本の悲しい現実です。




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