Aikn5.png・北の大地(北海道の鉄道)

・北の大地には、蒸気機関車がよく似合う。
・猛吹雪の中、白い蒸気をはきながら邁進するD51やC62の蒸気機関車を見ながら育った私は、蒸気機関車に深い畏敬(いけい)と敬意を持っていた。

・時代は移り、彼らの姿はもうない。

・JR北海道は経営困難におちいり、いま地方の路線を廃線化しようとしている。

・2030年以降、道東・道北から鉄道路線はなくなる危険性もはらんでいる。

◎ 北の大地の鉄道




・2030年に函館~札幌まで、北海道新幹線が開通する予定です。

・それと同時に長万部~小樽までの「函館本線」が廃止されます。
・さらに、根室本線の滝川~新得間・釧路~根室間も廃止予定。
・宗谷本線・留萌本線・石北本線・釧網本線・日高本線も廃止される予定です。

・道東・道北の地域を走る鉄道路線はすべて消えてしまうようです。



・現在、JR北海道が運営している路線は、上図の12路線です。(+千歳線)
・主要幹線は、函館本線・室蘭本線・根室本線・千歳線です。

・1987年日本の鉄道は、国鉄から7つのJRに分割民営化されて30年が経ちました。
・当初、民営化でも経営が厳しいとされたJR九州・JR四国・JR北海道は、国からの低金利を受けてなんとかしのいで来ましたが、30年で改善を果たしたのはJR九州だけです。

・特にJR北海道は冬の豪雪対策費用もかさみ、改善どころか悪化の一途をたどっています。

・札幌・旭川に人口が集中する中、北海道の地方は過疎化が進み、車社会の影響もありほとんど鉄道を利用しなくなりました。

・JR北海道は、赤字続きの地方路線を廃線にせざるをえないようです。



・路線図の黄色の部分は、かって北海道に存在していた鉄道路線です。

・国鉄から引き継いだ「JR北海道」は、赤字の多い地方路線を次々と廃線化してきました。
・戦前は4000㎞あった路線は、今や2500㎞、それでも経営を圧迫する赤字路線はさらに廃線化を進めるとしています。

・かつて北海道は鉄道王国で、国鉄の路線以外にも多くの私鉄が走っていました。
・広大な北の大地の移動には、人々は鉄道に頼るしかない時代でした。

・鉄道は、北の大地の資源(石炭・木材・海産物・穀物)を消費地に運ぶ役割も担っていました。

・それが、モータリゼーションの到来ですっかり変わってしまったのです。



・都市部への人口の集中やモータリゼーションよる鉄道利用の減少はわかりきっていたことです。

・それなのにJR北海道の経営者は30年間どのような対策をとってきたのでしょうか。
・そのことがほとんど見えてきません。

・鉄道の最大の利点は、大量に貨物を運べることです。

・トラック輸送は、生産地と消費地を直接結べることが利点です。
・日本の現在の貨物輸送の78%はそのためトラック輸送に依存しています。

・路線駅間を結ぶ鉄道輸送はそれができません。

・しかし駅を改善し駅を核とした輸送体系を整備すれば、輸送コストの安い鉄道輸送を利用する運送関係者も多いはずですが、現在の駅前には無料の駐車場もなく、コンテナ置き場もありません。

・過疎化で乗客が少ないのなら鉄道路線バスを走らせ鉄道と一般道を走らせることも可能なはずです。
・欠点や赤字を改善するアイデアがほとんど見られません。

・つまり鉄道を守ろうとする鉄道マンの誇りと努力がJR北海道には見られないのです。

・北海道の鉄道建設は、多くの先人達の努力と犠牲で造られた路線です。

・赤字路線は廃線にする。これでは鉄道会社の無能さを示しているだけです。



・北海道の最初の鉄道は小樽を起点として明治13年に開業します。
・鉄道の発展は、道内の地域に住む人々へ大きな影響を与えました。

・最初に北海道に鉄道を敷設するきっかけとなったのは、三笠の幌内炭山にある良質な石炭層の発見からでした。

・この石炭を小樽港まで輸送するための手段として開拓使が官営幌内鉄道を敷設して、まずは小樽-札幌間まで開通します。
・アメリカから1号機関車「義経号」と2号機関車「弁慶号」を輸入、その後も「しずか号」などの機関車を輸入しました。

・北海道に鉄道が生まれてから36年後の大正5年には1,600㎞に達し、10年後には2,332㎞まで延伸し発展を続け、その後4000㎞に達し150年の鉄道の歴史を持っています。

・輸送は石炭と木材が大半を占め、豆類や雑穀、澱粉なども急増し北海道は食料と資源供給地として大きくなり、北海道発展に果たした役割は大変大きいものでした。

・道なき道の原野を切り開いていく鉄道建設には、多くの労働者が参加します。
・屯田兵だけでは労働力が不足し、道内の集治監に収監されている受刑者が建設労働力としてあてられ、民間人を含めた監禁強制のタコ部屋労働を強要されて過酷な労働で多くの人々が命を失いました。

・こうして建設された北の大地の鉄道ですが、今は1500㎞も廃線化されてしまいました。
・一度廃線をすると、再び元に戻すことは困難です。

・鉄道建設は、多くの犠牲を伴って造られた遺産です。
・未来志向を持たず赤字で採算がとれないから廃線とするという手法には怒りを感じています。

・地方路線の廃線化が進む一方、北の大地に新幹線の建設が始まっています。
・新しい時代が始まるようです。



・北海道新幹線は、青森市から旭川市までを結ぶ計画の高速鉄道路です。

・2016年に、新青森駅 - 新函館北斗駅間が開業しました。
・2030年に、函館から札幌(212㎞)まで開通予定で、いま工事が進行中です。

・完成すれば東京~札幌間を5時間で結ぶことになります。

・この新幹線の特徴は、雪国対策として路線の80%がトンネルです。

・札幌~函館まで約1時間、そのほとんどがトンネル通過で、旅情などは味あえない乗り物となりますが、札幌~函館間の約1時間は大変魅力的で、小樽・倶知安(ニセコ)・函館の観光地を含めて道南地方が「一大札幌・函館圏」となる可能性があります。

・地球温暖化で猛暑が続く東京を逃れ、夏の温暖な北海道は快適で、今後、北の大地に移住する人々は増え、これからは北海道の時代となります。

・この新幹線が過疎化の進む北の大地の救世主となることを願っています。


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