レナウン問題
・2020年5月15日 レナウンが民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請した。
・ついに起きたかという感じである。
・負債総額は138億円余り、今後、裁判所の選んだ管財人のもと、建て直しに取り組むことになるが、昔流で言えば「倒産」である。
■・ついに起きたかと言った意味は、こうである。
・レナウンは、創業1902年、大阪のメリヤス問屋から発展し、1980年度の売上高は2000億円を超える日本一のアパレル企業となった。
・CMソング「レナウン・ワンサカ娘」や「イエイエ娘」が毎日テレビで流されて若者たちの心を捉えた人気の高い花形企業であった。
■・レナウンの斜陽
・海外企業投資でつまずく。
・1990年の英国の高級紳士服の老舗ブランド店「アクアスキュータム社」の買収でつまずいた。
・買収価格は200億円の予定だったが、結局400億円以上を投入した。
・英国の老舗ブランド名を武器に、欧米での販路拡大を目指してみたが失敗する。
・買収の翌年には、赤字に転落したが、なんとか生き延びた。
・2010年ついに山東如意科技集団(中国大手繊維会社)から40億円の融資を受け、さらに2013年29億円の追加融資をうける。(計69億円)
・これで山東如意科技集団が、レナウンの53%の筆頭株主となる。
・レナウンは、実質「中国企業グループ」の一員となった。
・中国市場での本格展開を目論んでいたが、これもうまくいかなかった。
・2019年レナウンは、山東如意科技集団の香港子会社からの売掛金53億円を回収できず大幅な赤字となる。
・つまり、中国の親会社が53億円を払わないというより、
・レナウンへの投資額69億円の1部を回収したのである。
・この事件で、レナウンは「破産」したと考えて良い。
・けして、コロナウイルスでの倒産ではない。
・ついに起きたかと言った意味は、
・昨年、この問題が報じられたときそんな気がしたからである。
・儲からなければ手を引く、儲かることには投資する。
・もうけるためには手段を選ばない、
・あくどい手段を使い「ハゲタカ」のように金をむさぼっていく、
・これが今流の国際ビジネススタイルの主流らしい。
・日産の「カルロス・ゴーン」も年収10億3500万円を日産から受け取り、
・日産を私物化して、ルノーの子会社にしようとした。
・SONYのCEO「ハワード・ストリンガー」も2011年の年収が8億6300万円
・(在籍10年中、後半の4年間だけで25億4000万円)をSONYから受け取っている。
・在籍後半の4年間は、SONYの経営が悪化していたときです。
・リストラを繰り返し、自分は多額の報酬を受け取る手法。
・まさに「カルロス・ゴーン」と同じです。
・在籍中、ソニー関係者からは「ものづくりに関心がない」との批判が多く、人員削減などのリストラを繰り返し、やがてSONYは「ウォークマンやトリニトロン」などのようなヒット商品を生み出すことはなく技術企業から遠のいていく。
・東芝も米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の買収でつまずき、いまは勢いがない。
【結論】
・1980年代から90年代初めにかけて、日本企業の「日本的経営」というものが世界を風靡(ふうび)した。
・アメリカ人も、日本的経営を学びに来るそんな時代が日本にはあった。
・やがて国際化が進み、世界市場を相手にするグローバルビジネスが展開する経済で、日本の企業経営者がそれについて行けなかった。
・そのため、日本語もわからない外国人社長を起用しようという話やハゲタカのような「海外企業」にも太刀打ちできないでいる。
・島国の日本人は、まだ「外国人コンプレックス」を持っている。
・英語や中国語がわかれば国際ビジネス社会で通用すると思っている企業もまだ多い。
・70年代「オイルショック」で日本経済を復興させたのは、片言の語学力と商品カバンをぶら下げて、世界中に日本製品を売り歩いた気骨ある「企業戦士」たちです。
・その気骨ある「企業戦士」たちが、今の日本にはいない。
・一流大学を出て語学力もある、しかし外国人に立ち向かえる気力と気骨がいまの日本人には少ない。やはり教育の貧困です。
・無資源国の日本、技術力で物を作り販売しなければ飯が食えない日本、それができなければGDPは落ち途上国の一員となる。
・物づくり、人づくり、それが今できなくなってきている日本、
・海外企業や外国人から富をハゲタカのように食い荒らされているのが余りにも目につく。
・今回のレナウン問題も、根本はここにあるのです。
・レナウンは海外投資に失敗しても、常に新商品を開発し、
・売れる物作りに邁進していたならば破産することもなく、
・世界の若者にいまも夢を与えていたのではないかと思う。残念です。