孫子の兵法

・今から2500年ほど前の中国、黄河下流の斉(さい)という国に、一人の男がいた。名を孫武(そんぶ)といった。

・この男は、周王朝に仕える小領主(大夫)の家系に生まれたが、一族内で内紛があり、孫武は一家を連れ、南の呉の国へと逃れて荒れ地を開墾して村をつくり一族で暮らしていた。

・時は「春秋戦国時代」、理想国家の周王朝が崩壊し、国内は覇権を求めて戦乱に明け暮れていた時代だった。

・孫武は、読み書きが出来る教養人であり、若いときから古代の兵書に親しみ、暇なときは小僧を一人連れて熱心に荒れ果てた戦場跡に赴き、両者の戦い方を分析し記録に残していた。

・ここまでは、いち農村の知識人の趣味の世界であったが「兵法十三篇」を記録していた。

・やがて、この兵法書が友人の「伍子胥(ごししょ)」が読み、呉の王「闔閭(こうりょ)」に献上した。
・伍子胥は、七回にわたり孫武をたずね、呉王に仕えるよう説得したが、孫武は応じなかった。

・呉の王闔閭は、自ら孫武を宮中に呼び出し孫武の兵法を問うた。

・孫武の高い知識力と実践力を宮中で確認した闔閭は、孫武を呉の国の重鎮(じゅうちん)として厚く登用した。


・世の中には、多くの兵法書があるが『孫子兵法』十三編は、2500年後の現代でも多くの人に読まれている。

・それは色あせることがない真実が書かれてあるからだと思う。

・『孫子の兵法』は、単に知識書ではなく戦いの実践書でもある。

・孫武自身、隣国の強国「楚国」との幾度かの戦いに参戦し、呉国を勝利に導いている。
・孫武を『孫子』と尊敬しているのはその為です。


■・『孫子兵法』は、松下幸之助の愛読書でもあり、富豪のビル・ゲイツも読んでいると言われる。

・その為か、現代ビジネスの指南書と尊ばれ書籍やネット情報が、やたらと目につく。

・上司が部下を思いやることで、部下の士気は向上する。
・行き過ぎた叱り方には利益はない。
・社員の結束力が一番大事だ。
・上司は、部下に仕事を任せたら、むやみに口出ししてはならない。など・・、

・『孫子の兵法』を読まなくても、先人達が昔から教えている言葉も多く語られている。

■・『孫子』の教えの中心思想は、『戦わずして勝つ』という教えです。


・孫子の根本思想

・孫武は、「春秋戦国時代」の戦乱の中で幾多の戦場を歩き、幾万と荒野に散らばる屍(しかばね)、破壊された建物、路頭に迷う農民達の悲惨な状況を見てきた。

・戦争をしてはならないことを孫武はよく知っていた。

・そして、戦国戦乱の世で『戦わずして勝つ』方法を模索していく。しかし、ひとたび争いが始まれば勝たねばならないこと、負けると、さらに悲惨なことになることも知っていた。

勝つためにはむやみに戦ってはならぬ、その為に生まれたのが『孫子の兵法』なのです。

・孫武は戦略家ですが、けして戦いを好んだ武将ではありません。そのことを我々は知っておかねばならないと思います。


・現代の戦争

・第一次世界大戦から兵器の発展もあり、近代戦争は、市民を含め多くの犠牲者を生んだ。

・第二次世界大戦の終わりには、原爆の最終兵器のも開発され、一瞬で約20万人の死者を出した。

(第1次世界大戦 軍人の戦死者数=約912万人)
(第2次世界大戦 軍人・民間人の死者数=約6000万人)

(注) *民間人の死者数は、軍人の死者数より約1000万人多い。

・ナポレオン時代の戦争と違って近代戦争の特徴は、市民(非戦闘員)の犠牲者が多く出る。

・ナポレオン時代の戦闘は、戦う兵士同士が向き合って、太鼓の合図で兵士同士が武器を持って戦った。その為、戦いの犠牲者は兵士でした。

・近現代の戦争は、武器を持って殺しあう戦いかたは変わりませんが。武器の破壊力と性能が著しく向上し、兵士と市民を区別することなく殺してしまう。

いかなる戦争もしてはならないというのは、このことを我々は知っているからです。


・いま、ウクライナで戦争が起きている。

・両軍は、最先端の兵器を使い殺しあっています。
・戦場のウクライナでは、多くの市民が犠牲となっています。
・それは、現代戦争では避けられない事実なのです。

いかなる戦争もしてはならないという意味は、もう一つあります。

・武器を持って殺しあう人間は、やがて闘争本能と生存本能と恐怖感から、人としての理性を失い、人間として信じられない行為を行います。その行為をここでは書きませんがそれが一番恐ろしいのです。

・いまロジア軍が行っている戦争犯罪的行為は、当然ウクライナ軍でも起きています。伝えられていないだけかも知れません。

・米国が叫んでいるロシア軍の戦争犯罪行為非難は、なぜか、わたしには共感できません。

・戦争犯罪行為とは何なのか・・
戦争そのものが犯罪行為なのではないか。
・市民(非戦闘員)を残虐に殺すのが、戦争犯罪行為ならば、

・先の大戦で米国が、敵国日本に落とした原爆で20万人、東京大空襲の焼夷弾で10万人の市民(非戦闘員)を大量に、それも残虐に殺したのではないか。

・米国は、自己中心的な国になりはてて、もはや米国から見習う文化も精神もない国になってしまったようだ。

・米国が真に世界の平和を熱望するならば、今回のウクライナ戦争も回避できたろうし、戦争をはやし立てるように最新兵器や資金を供与したりしないだろう。

・一方ロシアは、戦争を始めた以上、後戻りはしないだろう。
・このウクライナ戦争は、今後ますます激化し長引き、数十万人を超える戦死者が生まれだろう。
・市民は、さらに多くの悲劇と犠牲をしいられていくと考える。

・願わくは、ロシアが負け戦になり最終兵器を使わないことを願うばかりである。


・ウクライナのゼレンスキー大統領が打ち出したウクライナのNATO加盟発言からことの起こりは始まった。

・ロシア軍は12万7000千人の兵力を出動させて加盟に対しての圧力をかけた。

・この時点で、ウクライナの国民の命と財産を守るべき大統領ならば、何らかの回避策をとらなければならなかった。

ウクライナ国民は、本当に戦争をしてまで、EUとNATOへの加盟を望んでいたのだろうか。

戦いが好きなこの大統領の側近に、「孫武」がいたならば「いま戦うのは好ましくありません。必ずチャンスはあります。」と進言したと思う。

・それは戦争というものをよく知っていたからです。


・情報化社会の今日、一瞬にして悲惨な戦闘状況が日本の茶の間に送られてくる。

・日本人は、戦闘音が身近に聞こえないので、遠い国で起こっている出来事と思っている人が多い。

・しかし、この戦争は日本にも大きな影響を与えている。

・日本のエネルギー自給率は11.8% 食料自給率は37.1%で日本は日本人の生命維持資源を海外に依存している国です。

・その為、この戦争でも灯油やガソリン・食料品が高騰を続けている。
・為替市場の円安もウクライナ戦争の影響を受けている。
・ひとたび世界的規模(第3次世界大戦)の戦争が始まると日本は自滅する道をたどる。


・すべての人間と生き物は「宇宙船地球号」に乗って宇宙を旅している。
・「宇宙船地球号」に乗っている生き物は、全て仲間達である。

・人間達は、争い無く協力しあってこの「地球号」を守っていかなければ、生き物全員が自滅する。

・「宇宙船地球号」からの逃げ場はないからです。


*追伸
・前回「ウクライナ侵攻」をブログに書いた。
・読んだ方から、よくわからない、あなたはロシアに味方しているのかとたずねられた。・・・?
・いやいや戦争行為は、当事者間に悲惨な結果を残すだけで「正義の戦争」などないと言いたかっただけです。


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