地方と都市部で拡大する「限界集落」
■・平成7年、総務省は東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への転入者数が転出者数を上回り、13万5843人の「転入超過」と発表した。(2024年人口移動調査から)
・全体の60割を20~24歳の若者が占め、女性が8275人多い。大阪圏や名古屋圏、広島県でも同じく拡大した。
・若者が流出した地方は、過疎化と高齢化が進行し、少子化の流れの中で、やがて20~40年の間に限界集落化し消滅する危機にある。
・【独居高齢者の終の住処は】「支えるのは誰?」「頼るのは誰?」 扉の向こう~都会の限界集落化~(2011年地方の時代映像祭 放送局部門入賞)【ABCテレビドキュメンタリースペシャルから】
■・地方と都市部で拡大する「限界集落」
●・「限界集落」(げんかいしゅうらく)という言葉は聞いたことがあると思う。
・この言葉は、1988年(昭62)の大野晃(おおのあきら)教授の新語です。
・教授は「限界集落」の概念を提唱し、過疎高齢化して荒廃する山間部の農村の諸問題について述べた。
・昭和62年は昭和最後の年である。
・ずいぶん昔にこの言葉を提唱したが、それから40年後の現代 「限界集落」は、過疎農村だけでなく大都会でも起きていることを動画は語っている。
■・【限界集落】
・限界集落とは、若者が流出して住民の半数以上が65歳以上の高齢者の地域をいう。
・急速に進行する高齢化と過疎化の影響を受けた地域では、社会的共同生活の維持が困難となり、地域の機能が停止するなど危機的な状態が起きている。
■・【限界集落の現状】
・「限界集落」は、2020年の人口動態調査で、全国の4分の1の地域が該当し、約2万以上の集落が存在している。
・この限界集落では、医療や交通、物流などの社会インフラが消滅、または衰退して高齢者の日常生活が大きく制約された地域となる。
●・「限界集落」進行の要因は、若者の流出です。
・若者が流出した地域では、労働力が不足し経済活動が停滞して、農魚業の伝統的な産業の維持が難しくなり、地域の活力が失われて、さらに過疎化が進行するという悪循環が起きている。
・残された高齢者の住民たち同士の交流や共同作業も減少し、祭りや文化活動の維持も難しくなり、次第に住民の絆が薄れていき地域高齢者の「孤立化」が進む。
・やがて、高齢者の住民がいなくなると、その集落は消滅します。
・いま、日本は、このような「限界集落」が拡大進行しています。
■・なぜ、このような状況になったのでしょうか。
●・わかりやすく言えば、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」の世界です。
・「僕らの村には何にもない、俺ら東京さ行ぐだ」と若者たちは東京に向かい、地域は過疎化が進み、残された親たちの高齢化も進行し、本当にスーパーや交通機関がなくなり、日常的な買い物や医療へのアクセスもできず、高齢者の「孤立化や生活の質が」低下した集落となります。
・21世紀の日本は、この「限界集落」の進行が止まらず、拡大し今は大都会の団地でも起きはじめている。
・高齢者地域の「孤立化と孤独死」が進む日本、政治や行政の取り組みはどうなっているのでしょうか。
・NHKをはじめマスメディアは、なぜこの問題を論じないのでしょうか。明日は我が身なのに不思議です。
●・吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」を知らない若者たちへ
「吉幾三:俺ら東京さ行ぐだ」
・昭和60年の吉幾三のヒット曲です。
・吉幾三は、「無い物尽くし」の田舎が嫌になり、歌の通り東京に出かけて「銭こを貯めた」。
・平成に入り、全国の若者たちの多くも都会を目指し田舎は過疎化と高齢化が急速に進んだ。
・それから約35年後の現代、日本の田舎では、超高齢社会の「限界集落」化が起きた。
【 将来の日本社会】
・講談社の「未来の地図帳」から見えてきたのは、
・15年後の2040年に、全国の世帯者が(家主)が65歳以上の高齢者たちで過半数以上を占めるという姿です。
・少子超高齢化の日本では当然予測される姿です。
・日本の地方が「限界集落」化し、集落が消滅して自治体もやがて消滅していくことを考えると恐ろしくなります。
・ドアの「扉の向こう」には、高齢者たちの「孤立化と孤独死」が待っています。
・楽しくなければ「テレビ」でないと騒いでいるマスコミも、「限界集落」化に対応できない行政や政府も、この問題にもっと真剣に取り組まなければ、ほんとうに明日の日本は消滅してしまいます。
・ドアの扉を開ければ、いまその音が聞こえてきます。